お久しぶりです。ちょっと色々あってお休みしていました。またたまに更新できたらと思います。
今回の話は職場の先輩から聞いた話。仮にAさんとする。五十年近く前、福岡で、小学四年生だったAさんが遭遇した出来事だ。
その日は全学年合同の大々的な清掃があり、プールや体育館もその範囲だった。学年が混ざった五、六人のグループに分けられ、Aさんは側溝の掃除をすることになった。上級生が掃除用具のまとめられた倉庫から道具を取り出してメンバーに配り、各々持ち場で掃除を始める。暫くして、別の道具が必要ということが分かり、Aさんは取りに行くことにした。
「掃除用具の場所わかる?」
と上級生に言われ、さっきの倉庫を思い出して頷いた。一人倉庫に向かう。扉はすぐに見つかった。古びた扉。ノブに手を掛けて開くと、そこには灰色の壁があった。扉を閉じる。さっきのドアに見えるけど、場所を間違えた?一通り見て回るが、やはりこの扉らしい。もう一度開く。そこにはやはり壁がある。壁はよく見るとぬらぬらと濡れていた。何かが流れ、垂れている。気持ちが悪い。扉を急いで閉じた。みんなの元に戻り、よく分からないなりに事情を説明すると上級生がついてきてくれた。間違いなくさっきの扉。その扉に上級生が手を掛ける。開いたそこには埃臭い空間があって、掃除用具が並んでいた。
「ごめん、最初からついてきてあげれば良かったね」
と上級生は言った。
Aさんは混乱しながら、
「他にも同じ様な扉はありますか?」と訊ねた。
「無いと思うけど」
と上級生は答えた。
その後、また気になってその扉を開けに行ったが、そこには掃除用具があるばかりで、濡れた壁は二度と現れなかった。
この話は、他人に話すと頭がおかしいと思われそうで、ずっと話せずにいたという。